罷免の日の前日(5/27)、幹部たちとの協議で調整が深夜に及んだ福島瑞穂は、おそらく睡眠時間もほとんど取れなかったはずだ。明らかにアップで映る表情に疲労の色が漂っていた。だが、この日(5/28)の福島瑞穂は会心のステイツマンの姿を演じ、政治ドラマ「普天間5月末」のクライマックス・シーンで観客を魅了することに成功した。5/28は日本の政治史に残る激動の一日となったが、その大舞台で主役のヒロインを快演、鮮烈な印象を放って国民を痺れさせた。今年の参院選は、福島瑞穂の選挙となるかもしれない。5年前の衆院選の「小泉劇場」と同じように。「普天間」の大河ドラマは続く。「5月末決着」は第一部で、「7月の参院選」が第二部だ。5/28夜の福島瑞穂の会見は、人の心を捉え、強く胸を打ったが、特に強く響いたのは、「私は言葉に責任を持つ政治をやりたいと思っています」という清冽なメッセージだった。この言葉に何事かを感じずにはいられず、共感を覚えた国民は多かっただろう。政治的立場の左右を超えて。福島瑞穂の言葉は、乾いた心に水がしみこむように人の内面に届いたはずだ。われわれは、ずっと長い間、政治家の言葉に裏切られ続け、心を傷つけられているのである。その苦痛に耐えられず、堪えるのがしんどくて、昨年、一票で政治を変えたはずなのに、期待を託した鳩山政権に再び手ひどく裏切られた。「政治主導」、「沖縄の負担軽減」、「対等な日米関係」、「公約実現」、すべて嘘だ。