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『エンデの遺言』 (3) - 政府紙幣と丹羽春喜、私の着想と試論
2010-07-25 23:30:00
テーマ: 政治・経済
政府紙幣の発行について盛んに議論されたのは、昨年の2月から3月にかけての時期だった。百年に一度と言われる世界金融危機と未曾有の大不況の直撃の中で、日本経済を抜本的に救済し蘇生させる手段としてこの構想が急浮上し、政府内でも本格的に議論され、ネットの中でも様々なBlogで情報が飛び交っていた。従来の経済や金融の常識を覆すラディカルな構想と提案であり、初めて聞く私も議論の行方を注目して見守っていたが、二つの事件の突然の発生により、政府紙幣の論争はすぐに下火になった。一つは、3/3に起きた西松事件である。当時、民主党代表であった小沢一郎の秘書が政治資金規正法違反容疑で東京地検特捜部によって逮捕、総選挙を間近に控えた政局は騒然となり、経済政策の議論どころではなくなった。もう一つは、政府紙幣発行論を打ち上げて論壇をリードしていた高橋洋一が、3/24に都内の温泉施設で利用客のロッカーから財布や時計を盗み、窃盗容疑で逮捕され書類送検されるという刑事事件が起きたため、その影響で急速に議論が萎んで行ったという経緯があった。今から振り返って、この二つの事件は非常に残念な出来事で、金融危機に対処する経済政策の議論が等閑になり、マスコミもネットも、小沢一郎と検察が主役の政局劇場の喧騒ばかりに熱中し右往左往するようになった。国民の関心が経済政策から離れた。本当なら、参院選前にやらなくてはならないのは、消費税論議ではなくて、宿題のままの政府紙幣論議だったのだ。
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