世界中が注目した米中首脳会談について、一般の報道とは少し異なる感想を持つ。目立ったのは、オバマと米国の小児病的な態度と言うか、胡錦濤と中国に対して妙に尊大で傲慢だったり、あるいは卑屈だったりの態度に終始していた点だ。目上である胡錦濤の前で、生意気に足を組んだり、さも自分の方が地位が上であるかのように見下げる視線を送ったり、オバマの人格の未熟さが透けて見える映像が多かった。この男は、一昨年の両陛下との謁見の場でも粗相を演じて恥を曝したが、アジアの国の元首の前でどう対応すればよいのか、何が自然で知的な振る舞いなのかを理解していない。アジア世界に対する心得と配慮がない。超大国の元首としての気品と威厳に欠け、世界の指導者としての矜持と自制がなさすぎる。クリントンも若かったが、決してこのように浮薄な若僧の所作はしなかった。中国人の前で緊張感と戦略性があった。ブッシュの父親も常識人で、日本人に悪い印象を与えなかった。特にレーガンと中曽根康弘との関係などは、ある意味で見本の表現の図を示していて、見る者に納得と安定感を与えていた。アフリカンの米国人だから、米国至上主義が嵩じて、こういう不具合と限界性が表出してしまうのだろうか。今回の米中会談のニュース映像を見て、オバマに対して尊敬や信頼の感覚を抱いたアジアの人間は少ないだろう。印象づけられるのは、オバマの軽薄に対する胡錦濤の重厚のコントラストである。どちらが超大国の指導者かわからない。