解散総選挙の時期は9月になるだろう。7月に都議選があり、前後1か月を空けてくれと公明党が要求している。7月にはイタリアでG8サミットがあり、麻生首相はこれには必ず出席したいはずで、その前に総選挙で敗北して下野するリスクは冒さないと思われる。9月の任期切れまで総理の座を務めれば、安倍晋三や福田康夫の在任期間と並び、その後の政治家生活で恥をかかずに済む。解散カードをちらつかせる、解散風を吹かすという手法は、政権を維持するための定石である。解散権を確固と握ってそれを周囲に示威することが、麻生首相の権力延命の手段であり、権力状態を示すメルクマールでもある。小沢問題で民主党を動揺萎縮させ、さらに森喜朗に西松事件の嫌疑を臭わせて牽制が利いている現在、麻生首相の権力に揺さぶりをかける脅威は党の内外になく、昨年12月の支持率急落から失っていた解散権を取り戻して悠々自適の状態にある。森喜朗の権勢は党内で衰退し、混乱する森派は盟友の安倍晋三が仕切り始めた。残り4か月の権力操縦はほぼ万全の見込みとなり、政局は不人気の麻生首相が主導権を握ったまま一時的な凪の状態になっている。