週末の報道番組は、海水注入中断と不信任決議の話題ばかりだった。不毛な感じがする。自民党は、原発事故の初期対応で菅直人を責めるのなら、不信任案提出の前に参院に事故調査委を設け、そこで事故発生からの経緯を検証することを何故やろうとしないのか。参院は野党が多数であり、事故調査委設置法案が否決されることはない。そこに関係者を喚問し、「空白の55分間」を検証することもできるし、「ベントの遅れ」問題も真相を究明することができるだろう。大義名分のない不信任案の政局騒動よりも、国民は国会での事故調査の方をはるかに支持するはずだし、国民の要求はそこにある。この自民党による国会への事故調査委設置の動きが、単にポーズだということは明確だとしても、それを強く要請する声がマスコミから上がらないばかりか、ネットからも政局論として全く注目されないのには首を傾げる。ネットの世論は、国会の事故調査委に関心がなく、自民党と小沢派による「菅降ろし」にのみ喝采を送り、涎を垂らして野獣のように咆え騒ぐばかりだ。週刊誌も同じで、初動ミスを論った菅叩きで煽って売っている。私は、菅直人を擁護する意図は毛頭ないが、政治の議論がこのような非理性的方向に流れて狂躁状態になる状況は看過できない。結果として、自民党と保守マスコミに誘導されるだけではないか。自民党と保守マスコミが菅降ろしを画策するのは、何より、政権を取り戻して原発とその利権を守るためである。