今、日本は三つの大きな困難と課題に直面している。一つは原発事故とその収束である。もう一つは東北3県の震災とその復興である。そして、もう一つは日本経済の打撃の問題である。そのように私は思うが、日常の報道と世間の関心は第一の福島原発の現状と対応、それに関連する政局と放射能の被害に集中していて、後の二つの問題への注目が極端に弱く薄い。問題の重大さと深刻さは、おそらく三つが同等であり、新聞の記事やテレビのニュースは、三つの問題に等分に分量と比重を割くべきではないかと思うけれど、実際の報道環境はそうなっていない。特に三番目の日本経済の問題についての追跡や議論がない。食料やエネルギーなど資源の高騰に襲われた2008年、金子勝は、これほどの日本経済の危機なのに誰も危機だと言わないと警告、石油危機の当時と較べて日本に危機感がないと正論を吐いていた。私は、現在の日本経済の危機は3年前よりも厳しく、震災と原発事故によるダメージは、オイルショックやリーマンショックを超える重傷ではないかと直感するのだが、当の金子勝を含めて、経済学者たちが全くそうした指摘や提起を発しない。金子勝は、今やすっかり原発評論家となり、エネルギー政策専門家となって、日々のニュースのフローに密着している。日本経済の危機を直論しない。
森永卓郎は、原発擁護派として論陣を張るお粗末で、世間の失望と失笑を買っている。