春分の日の昨日、3/20はイラク戦争の開始から10年の節目の日で、マスコミがそれに焦点を当てた報道をしていた。朝日も1、2、4面に記事を配置、社説を上げ、福田康夫のインタビューを載せている。開戦10周年を伝えるマスコミ報道でキーとなったメッセージは二点で、一つは、米国が巨額の財政赤字と深刻な後遺症で苦悩しているという負の遺産の問題であり、もう一つは、宗派対立による暴力の連鎖が続き、大規模なテロで日常的に市民が犠牲になっているイラクの惨状である。ほとんどのマスコミ報道で紹介された情報だが、米ブラウン大の研究機関による推計で、米政府のイラク戦争関連支出は1.7兆ドル(約161兆円)、負傷兵への将来的な補償費、戦費への利子等を加えると、総額で6兆ドル(約580兆円)に達する。この膨大な費用負担を米政府は続けなくてはならず、厄介な戦争の後始末は今度も続くということだ。この試算にはアフガン戦争の分が含まれていない。両方を合算すると数字はもっと大きくなる。オバマが、今後は米国は戦争において地上軍を投入しないとコミットした理由がよく分かる。イラク戦争を支持した米国の多くの国民は、戦争がこれほど長引くとは思わず、これほどの犠牲と支出と負債を引き受ける羽目になるとは想像もしなかっただろう。侵攻から1か月でフセイン政権を倒し、全土を占領して「終結宣言」を出したが、いわゆる反米武装勢力の抵抗に遭い、占領政策は成功裏に進まず、結局のところ泥沼化して2011年の米軍撤退を迎える。