今から17年前の1996年、国連人権委員会にラディカ・クマラスワミの
報告書が提出されている。報告書は従軍慰安婦を性奴隷であると明確に規定、女性の人権の擁護と個人補償を訴え、以下の具体的措置を日本政府に
勧告した。(1)日本軍によって設置された慰安所制度が国際法違反であることを認め、その法的責任をとること。(2)日本軍性奴隷制の被害者個々人(元慰安婦)に対し、原状回復と賠償を行うこと。(3)慰安所について、日本政府が所持するすべての文書を完全に開示すること。(4)名乗り出た日本軍性奴隷制の女性被害者(元慰安婦)個々人に対し書面による公的謝罪をすること。(5)歴史的現実を反映するように教育内容を改めること。(6)慰安所への募集及び収容に関与した犯行者をできる限り特定し、かつ処罰すること。以上。従来、「従軍慰安婦」と呼ばれてきた問題と対象が、国際社会の中で「性奴隷」となった画期は、この1996年1月のクマラスワミ報告と、それを受けた国連人権委員会の同年4月の
決議だろう。以降、クマラスワミ報告が基準として定着し、この問題が国際社会で議論されるときの判断軸となっている。NHKや右翼は、韓国が資金を撒いて米国でロビー工作に勤しんでいるから、慰安婦問題で日本が不利な状況になっているのだとプロパガンダを刷り込んでいるが、17年前の国連人権委員会で、言わばこの問題についての国際法が確立しているのである。