米国がシリアへの軍事介入に踏み切る。昨夜(8/28)はテレ朝の報ステが緊迫した情勢をよく伝えていて、時間も長く割き、解説も当を得たもので、何がどう動いているか非常にわかりやすかった。スタンスも中立的で安心して視聴できた。それとは対照的に、NHKは米国政府の立場で短く報道するだけで、米国の軍事行使を正当化するだけの情報の伝え方しかなく、報ステと比べて劣悪で偏向した内容だった点は否めない。NHKは、ワシントン支局長が登場して、上から目線で一方的に米国の「戦争の大義」を垂れ聞かせただけだが、報ステは、パリやモスクワやダマスカスと中継し、多面的に状況を伝えていた。報道に熱と厚みがあり、古館伊知郎の説明は、戦火拡大の犠牲になるシリアの市民に即した論調だった。開戦前夜の緊迫した瞬間なのに、NHKの者(大越健介や田中淳子)には、ジャーナリズムの現場の緊張感がなく、まるで米国政府の報道官のように、淡々と攻撃準備と介入理由を述べるだけだ。ワシントン支局長の父親は庶民肌で人気者だったけれど、娘は米国様と一心同体で出世の階梯を上る官僚貴族そのもの。NHKの報道ではシリア情勢と問題の構図は全く掴めない。何のために高い受信料を払っているのだろうか。報ステの報道は、特にパリ(仏政府)の情報を入れたこと、内藤正彦の解説と分析が入ったことで、質の高い報道に仕上がっていた。今日(8/29)の朝日の紙面記事よりずっと詳しく濃い情報提供だ。