1/20の動画公開から始まったイスラム国人質事件は、安倍晋三の2年余りの政権運営の中で最大の危機が訪れた局面だった。特に、翌日1/21に「政府関係者」が
リークを始め、11月から身代金要求のコンタクトを受けて政府がメール交信に及んでいた事実を暴露し始めたとき、安倍晋三は
顔面蒼白になったはずだ。なぜなら、全ての事情を知るこの「政府関係者」が、何もかも明らかにしたら、身代金を拒否し続けて後藤健二を見殺しにした真相が天下に曝されてしまう。見殺しを指示したのは安倍晋三であり、また、人質の命がかかった交渉が極秘裏に継続しているのに、それを隠し、無視して解散総選挙を強行したのは安倍晋三だったからだ。こんな事実が「政府関係者」の口から漏れ、さらに、それを証拠づける内部文書が野党にタレ込まれ、国会質疑の生中継中に爆弾炸裂の事態になれば、内閣は一瞬で吹っ飛んでしまう。まさに、安倍晋三にとって絶体絶命の政局が見えていた。「政府関係者」のリークは(誰もが意外な)反旗だった。安倍晋三側からすれば、本来、絶対にこのタイミングで外に出してはいけない情報である。結果的に、後藤健二殺害の直後から、安倍晋三は猛然と反撃して鎮圧に成功、「政府関係者」を粛清して口を封じ、鉄の情報統制とマスコミ管理でこの政局を乗り切るのだが、それは危機一髪のことだった。