東京11R 東京スポーツ杯2歳S
有力馬事前情報
東京競馬場5日目11R
第28回
東京スポーツ杯2歳S
芝 1800m/GⅡ/2歳/国際/馬齢
東スポ杯2歳Sは数ある2歳重賞の中でももっとも出世率が高く、過去の勝ち馬を見ても分かるように後のGⅠ馬がズラリ並ぶ。昨年から『GⅢ→GⅡ』に昇格になったのもこのレースの重要性を認められたからこそ。近年の勝ち馬をご覧いただきたい。
イクイノックス(天皇賞秋)
ダノンザキッド(ホープフルS)
コントレイル(クラシック三冠)
ワグネリアン(ダービー)
サトノクラウン(宝塚記念)
イスラボニータ(皐月賞)
このレースを勝てば「出世はほぼ間違いない」といったところ。それだけにクラシックを見据える好素材が多く顔を揃えるが、今年も前評判の高い素質馬が顔を揃えた。どれを中心視すべきか目移りするが、キャリアが浅い馬が多くて比較が難しい。
勝ち馬の特徴としては、まず上がり最速(もしくは2位)を駆使していること。舞台的にも逃げ切りはなかなか難しいために、とにかく現時点で“抜けた決め手”を持っていることが条件になる。このレースの結果は、次の朝日杯FSやホープフルSに確実に直結するので、レース後もしっかり時間をかけて分析をしておきたい。
1枠1番
シュバルツクーゲル
牡2/56kg
西村淳也/鹿戸雄一
騎手厩舎連対率:75%
東京芝:未経験
芝1800m:未経験
《期待値60%》
今週は厩舎としても勝負週の鹿戸厩舎。「重賞はどう?」の問いには「さすがに勝ち負けできるとは言わないけど、馬券圏内くらいなら十分あると思ってるよ。人気を考えても面白いんじゃないかな」と返答。それなりに手応えは持っているようだ。
トモを擦りやすい走りをしているためウッドチップコースでの調教は避けているが、調整は問題なく、前走からの上積みは大きい。「パンパンの良馬場はどうかと思っていたが、前日の雨でちょうどいい馬場で走れそうだね」とのこと。半兄シュヴァルツリーゼは新馬戦を勝った後、デビュー2戦目で弥生賞2着に入り、クラシックに参戦している。この馬にもそれと同じくらいの期待が持てそうだ。
3枠3番
ファーヴェント
牡2/56kg
横山武史/藤原英昭
騎手厩舎連対率:35%
東京芝:未経験
芝1800m:1-0-0-0
最高タイム:1.50.8
《期待値65%》
札幌2歳Sを使う予定で夏は函館入り。その際に調教で横山武が騎乗して「凄いイイ馬ですね」と好感触。ジョッキーとしては多少の社交辞令もあったかもしれないが、来年のクラシックホース候補というくらいのトーンで話していたことがあった。結局、そこには使わずに東スポ杯に目標を切り替えていたが、当時の評価を考えるとこの馬の素質の高さは間違いない。
藤原英師は「いい感じで動けてる。ハーツクライ産駒でお姉さん(サーマルソアリング)と比べても柔らかいし切れもある。前回より体も締まってきた。広い東京コースでやれるのもいいと思う」と期待を膨らませている。
4枠4番
ミカエルパシャ
牡2/56kg
松山弘平/橋口慎介
騎手厩舎連対率:26%
東京芝:未経験
芝1800m:未経験
《期待値60%》
新馬勝ち後は放牧に出して成長促進し、ここを目標にしてきた。中間の動きも前進気勢があって力強さを感じさせる。「期待通りの成長をしているね」とは厩舎スタッフ。馬体重も470キロくらいまで増えているようだ。橋口師は「少し時計は速くなったけど、楽に動けていたし、元気いっぱいで具合はいい。もともと身体能力が高い馬だと思っていた。コースも広い方が良さそう。あとは折り合って運べれば」と七夕賞以来の重賞制覇を狙う。
5枠5番
ショウナンラプンタ
牡2/56kg
鮫島克駿/高野友和
騎手厩舎連対率:0%
東京芝:未経験
芝1800m:未経験
《期待値65%》
高野厩舎は先週のデイリー杯をジャンタルマンタルで制し、新馬→野路菊Sを連勝したヴェロキラプトルと合わせて2歳勢が好調。3頭目の2歳牡馬OP馬輩出を狙う。
鮫島駿はその両馬の主戦を務めるが、この馬に対しても「勝ちたいですね」と意欲をのぞかせている。追い日以外にも積極的に乗ってコミュニケーションを深めているのが印象的だ。
「僕はありがたいことにキズナ産駒でたくさん勝たせてもらっていますが、この馬は産駒の特徴が特によく出ています。イイ馬ですよ」と血統にも触れて期待を込めた。話のトーンからは先に挙げたOP馬2頭に素質は引けを取らないとのこと。
6枠6番
ガイアメンテ
牡2/56kg
マーカン/須貝尚介
騎手厩舎連対率:0%
東京芝:未経験
芝1800m:1-0-0-1
最高タイム:1.52.2
《期待値60%》
札幌2歳Sでは1番人気の支持を集めるも6着敗退。パドックでかなり入れ込んでしまい、ゲートの中でもガチャガチャしてスタートでアオってしまった。向正面でポジションを上げてコーナーで外を回って追い上げるも、最後まで脚は続かず。「参考外に近いと思います」と武豊もサバサバしていた。
今回は前走の反省を踏まえた上で慎重に進めて立ち上げ、「当日はメンコ着用と厩舎装鞍を予定している。落ち着いて臨めればあんなことはない。能力はかなり秘めているし、巻き返せるはず」と陣営もキッパリ。追える剛腕マーカンドとのコンビも魅力だろう。できれば当日のパドックは確認したい。
7枠7番
シュトラウス
牡2/56kg
モレイラ/武井亮
騎手厩舎連対率:22%
東京芝:1-0-1-0
芝1800m:未経験
《期待値65%》
レベルの高いメンバーが揃ったサウジアラビアRCで2番人気3着。出遅れてポジションを取れずに上がり勝負に持ち込んでしまったことで切れ味の差が出てしまったが、早い段階で自分のスタイルとは違うレースを経験できたのはプラスだろう。
武井師は今週の追い切りを「前の馬が52秒で行く予定で、追走の距離の感じから51秒くらいかなと思った。うまくコントロールできた」と折り合い面で心境を認める。この秋新装された美浦の坂路で、最初に同50秒台を計時した2歳馬となった。
この厩舎、昨年はハーツコンチェルトがこのレースで3着に好走するも、その後はずっと賞金加算に苦しんだ苦い経験があり、「とにかくここで賞金を加算して楽なローテでクラシックに向かいたい」と意気込む。
7枠8番
シャンパンマーク
牡2/56kg
戸崎圭太/蛯名正義
騎手厩舎連対率:51%
東京芝:1-0-0-0
芝1800m:未経験
《期待値60%》
NHKマイルCの覇者シャンパンカラーの半弟。秋の東京開幕週に行われた芝2000mの新馬戦を2馬身差で快勝、弟もGⅠを狙える逸材と騒がれた。管理する蛯名師は「マイルチャンピオンCのレッドモンレーヴも楽しみだけど、この馬も重賞勝ちを狙える素材」と期待が大きい。
美浦ウッドでの1週前追い切りは古馬OPのテイエムサウスダンと併せ馬。師は「順調にきてますよ。新馬戦を使って、ベースが1段上がったと思います」と手応え十分だ。操縦性の高さが売りの馬で、ここで賞金加算して暮れのGⅠを狙いたいとのこと。東京コースの経験がない馬が多いが、当地の新馬を勝っているのは強みだろう。
8枠9番
フォルラニーニ
牡2/56kg
ルメール/手塚貴久
騎手厩舎連対率:15%
東京芝:未経験
芝1800m:未経験
《期待値65%》
叔父にサトノダイヤモンドを持つ良血馬。GⅠを3連勝中のノーザンF天栄×ルメールのお馴染みのタッグだ。新馬のレース内容自体は、時計面も含めて特筆すべきところはないが、手塚師は「稽古の動きはいい感じ。パワーが上がっているし、デビュー戦よりいいパフォーマンスができると思う。粗削りな分、広い東京替わりはプラスに出るだろう。相手関係は強くなるけど、いい内容なら先々楽しみ」と出世街道に乗せる構え。良血らしい上積みは十分見込めるようだ。