昨夜(3/18)、NHKの『その時歴史が動いた』の最終回の放送があった。番組が3月で終了するという情報を知って、とても淋しい気分になっていたが、遂にそのときを迎えて、思いが胸の中に広がって行く。9年間続いた放送の大半を私は見逃していて、決して熱心な視聴者ではなかったが、しかし熱烈な支持者であったことは確かで、この番組が続いていることが心の安心であり、NHKに対する信頼感を支える具体的な材料でもあった。それがなくなることの淋しさや悲しさを噛み締めたときは、惜別に際して感謝の言葉を捧げるべきだ。2000年に番組が始まったときの最初の回の放送はよく覚えている。日本海海戦をCGで見せていた。「そのとき歴史が動いた」の前にどんな歴史番組をやっていたのか思い出せないが、松平定知をキャスターに据えた新番組は、それまでの方法とスタイルを変え、本来のオーソドックスな歴史番組に戻っていた。それ以前はポストモダンのテイストが濃厚な歴史認識だった。松平定知の番組はそれを一新し、歴史を人間のドラマの集積として捉えた。そして、この番組のバックボーンが司馬遼太郎にあることを示唆していた。