結論から言えば、米国は北朝鮮との二国間協議を直ちに始めるべきで、国連安保理での議論が一段落すれば、いずれ流れは二国間協議へと落ち着いて行くだろう。北朝鮮による核とミサイルをカードにした対米外交は、大昔のクリントン政権時代から一貫して不変である。基本的な点だが、問題を大きく見たとき重要なのは、北朝鮮は同じ政権がずっと続き、米国の政権は何度も変わり、外交の戦略と性格を変転させている点である。米国のような民主主義の国では、政権交代があると外交政策も変わる。戦略立案者も変わる。新しい立案者は、必ず前政権の政策と成果を否定し、新しい路線を提示措定させようとする。一方、北朝鮮の米国への要求は体制保証と経済支援の二つであり、この点は従来から何も変わっていない。米国の方が、政権が変わる度に対北朝鮮政策を練り直し、また担当者が変わって学習をし直しているために、強硬姿勢になったり対話路線に転じたりするのである。そして気づくことは、米国は一つの政権が終わる頃は、北朝鮮に対してすっかり柔軟路線が定着して、国交樹立と包括的支援の合意寸前まで辿り着くことである。