『レッドクリフPartⅡ』を見に行った。今年のGW映画の中で最も話題になっている作品だが、新型インフルエンザ報道のせいで観客の出足が鈍っているのか、それとも不況のせいなのか、映画館の中は閑散としていた。だが、この映画は間違いなくお奨めできる。テレビやネットの宣伝で受けるコマーシャリズム的な印象よりも実際の映像ははるかに見ごたえがある。娯楽商品としてマスの大衆を動員しなければならないから、あのようなコミュニケーションとメッセージになるのは仕方がないが、広告の印象は軽薄でよくない。第一、日本で公開する際の題名を英語の「レッドクリフ」にすること自体が私には抵抗があり、正しく「赤壁の戦い」と銘を打つべきで、不滅の歴史物語を自ら貶める冒涜行為のよう感じられていた。映画の内容がよかったので、今は一安心した気分に落ち着いているが、中国の古典や歴史を映画化した作品を日本で配給する際は、そうした文化的背景のない英語圏の観客にエンタテインメントを商売する論理とは異なる態度で対応して欲しい。三国志はわれわれ日本人の神聖な古典でもある。グロ-バルマーケティングの論理で安直に塗り潰されては困る。