今度の都議選とその結果は、4年前の衆院選(
郵政選挙)とよく似ている。どこが同じかと言うと、選挙をする前からマスコミが勝つ側を決め、連日報道で有権者を煽りたて、票を流し込ませた点がである。勝つ側は最初から決められ、自民党に投票すれば死票だと言われ、都民は勝ち馬に乗るべく民主党に投票した。石原都政のオール与党である自民党と民主党の間で政策の差はなく、別にどちらに入れても構わない。マスコミは今度の都議選を「衆院選の前哨戦」と位置づけ、「政権交代を問う選挙」と争点を設定した。そのマスコミの意のままに有権者は踊ったのであり、4年前に「
郵政民営化の是非を問う選挙」とされた総選挙で、最初から勝利を予定された小泉自民党に一票入れたのと全く同じ投票行動が再現されたことになる。ネットの中で今度の選挙結果を「ネットの勝利だ」とか、「俺が応援したから勝った」とブログ左翼が騒いでいるのも同じ構図で、4年前の郵政選挙もネット右翼と新自由主義者たちの「ネットの勝利」だった。あのときの不愉快な記憶がまざまざと蘇る。「天下分け目の関ヶ原」とか「革命」だとか言って騒いだ点も全く同じだ。別にブログ左翼のネット運動が奏功して民主党が勝ったのではない。マスコミが勝者を最初から決めていたのだ。今回の都議選の本当の勝者はマスコミである。この異常で畸形的なポピュリズムのパターンは日本の選挙で完全に定着した感がある。