投票前の最後の機会に、今回の選挙を見ながら思いついたことを幾つか。一つは地域間格差と一票の格差の問題で、地方の問題がこの選挙で正しく議論されなかったのは残念だった。マニフェストの比較だとか財源論とか、ほとんど意味のない話ばかりが財界に飼われた政治学者やマスコミの人間によって取り上げられ、日本の現実の問題に光が当てられなかった。地方が今どうなっているかを都会の人間は知らない。個人的な事情があり、私は春から何度も帰省していて、田舎が想像を絶する状態に置かれていることを知ったが、東京で暮らしている人間はそうした状況に想像が及ばない。マスコミで報道されないから、何もわからず、例えば、無駄な道路ばかり作り続けているなどと思い込んでいる。結論から言うと、90年代初頭の「政治改革」のときから言われ続けてきた「一票の格差」論は、基本的人権の問題を偽装して正当性を捏造した新自由主義のイデオロギーだ。政治学は「一票の格差」論に対して正面から批判の議論を提起し、地方選出の国会議員の数減らしに歯止めをかけ、80年代以前の国民代表の地域配分のバランスに戻さなくてはいけない。首都圏や関西の議員の数を減らし、北海道・東北・北陸・中国・四国・九州などの地方の議員数を増やさなくてはいけない。