ロシアの大統領が北方領土に足を踏み入れた。歴史的な侵略の一日だったというのに、この国の閑却と不感症は一体どういうことだろう。あまりの危機感の無さに呆然とさせられる。国会では、小沢一郎の招致問題と中国漁船のビデオ問題で騒いでいるだけで、目の前で起きているこの歴史的な侵略事件が議題にならない。普通の国なら、全ての審議を一時中断して、全会一致でロシアに抗議する国会決議を上げるのではないのか。国会議員が大挙して抗議文書を手にロシア大使館に押しかけ、目を怒らせて国民の憤激を示すのではないのか。納沙布岬では、雨が降る中を高齢者となった元島民たちが
抗議集会を開き、海の向こうに怒りの拳を突き上げていた。天気図を見てもわかるとおり、あそこには台風並みの低気圧が居座っている。冬はいつもそうだ。そして、
納沙布岬はのっぺりした一面の平地で、吹きさらしの強風を遮る山がなく、暴風雨の中での集会は高齢の元島民の体にはさぞ厳しかっただろう。本当なら、そこに議員がアテンドするはずなのだ。しかし、テレビでは
武部勤が国会で反中プロパガンダの寸劇に興じている。北海道選出の、しかもオホーツクが地盤の国会議員が何をやっているのだ。この国の政治は末期症状を通り越し、もはや危篤状態に陥っている。全てが機能不全に陥り、国会も政府も麻痺し、国民と呼べる国民すらいない。この問題についての菅政権の無策と無責任は信じられないものがある。