民間企業で仕事をされた人なら、中計(中期事業計画)の立案作業に参加した経験をお持ちの場合が少なくないだろう。通常、この年中行事は6月に行われる。今後4年から5年先を見通した企業環境を予測し、市場や技術の動向がどのように変化するかを見定め、企業の各事業の方向性や規模を大きく見積もる。今後のヒト・モノ・カネの投資配分を方向づけて数字を設定する。外資系の企業では、LRSP(Long Range Strategic Plan)と呼ぶ。6月の中期計画を受けて、8月から来年度予算の策定作業が始まる。具体的に来年度の売上予算、経費予算、人員計画が決められる。つまり、中計の数字は来年度予算に直結するわけで、その点できわめて重要な意味を持つ。政府も8月に概算要求の作業があり、ここで来年度予算の大枠が決まるが、その概算要求に先行して、6月に中計的なプランを作っていて、「
中期財政フレーム」と呼ばれている。この制度と方式は従来はなかった。政府の予算業務に民間的な中計のプロセスを本格的に導入したのは、小泉内閣で経済財政担当相に就任した竹中平蔵だった。「骨太の方針」である。民主党に政権が交代し、あまりに竹中平蔵の悪印象が纏わりつき過ぎているということで、名前を「中期財政フレーム」に変えた。その発表が今月中に予定されている。現時点では情報の詳細は漏れてないが、今後2週間の政治日程を経て、相当にドラスティックな中身になるのではないかと、私は不安を抱きつつ予想している。