梅雨のさなかに選挙はあり、梅雨が明ける前に選挙は終わる。恒例の記者クラブ主催の党首討論会も、思った以上に早く来て、すぐに通り過ぎた。昨年の総選挙の
党首討論会はテレビの前で釘づけで見た記憶がある。鳩山由紀夫の2分間スピーチが絶妙で、討論会の中身も盛り上がって非常に面白かった。政権交代への胎動があり、与野党の立場が入れ替わる将来がくっきり見えていた。今年の
討論会は生中継で見なかった。昨年のような政治への期待や興奮がすっかり消え、暗鬱な気分で政治家の言葉と向かい合わなくてはならず、その彼我の落差に悄然とさせられる。昨夜(6/22)の報道ステーションで、討論会の映像を少し紹介していたが、菅直人の言葉は嘘ばかりで実がなく、信用する気分で真面目に聞けないのである。官僚の言葉だ。そして、権力者の言葉である。騙し、はぐらかし、その場を凌ぎ、選挙を目論見どおりの結果で終わらせることだけが念頭にある。もし、民主党が勝利すれば、選挙前に取り繕って言ったところの、増税の代償措置の「低所得者への負担軽減」や「複数税率」はすぐに忘れ、「消費税10%増税」が国民の信を受けたとマスコミに囃させ、自分もそう宣言し、谷垣禎一が辞任した後の自民党を巻き込んで、来年4月からの引き上げに卒然と着手するだろう。この選挙は消費税選挙であり、5年前の郵政民営化選挙と同じだ。菅直人が企画設計したシングル・イシュー選挙である。5年前の郵政選挙が終わったときの、
小泉純一郎の勝ち誇った顔が浮かぶ。