何度も繰り返して恐縮だが、マスコミが言っている「ダブル辞任」という言葉は論理矛盾で、今回の事態を説明する概念として不適当である。代表が辞任すれば、執行部総辞職であり、代表に任命された幹事長は自動的に失職となる。内閣総辞職の閣僚の立場と同じだ。今回の報道を聞いていると、まるで代表と幹事長が独立した機関上の権原を持っているような言い方をしていて、幹事長が代表の任命権から自由な存在であるかの如き見せ方をしている。これは全くの嘘だ。そして、その問題と重なるけれど、「無理心中」だとか、「小沢に辞任を迫った」とか、まるで鳩山由紀夫の方が仕掛けた政局であるかのように報じている。これも嘘だ。今回の政局は、誰が見てもわかるとおり、小沢一郎と輿石東の方が仕掛けた政局であり、鳩山由紀夫を引きずり降ろす権力闘争である。ところが、昨日(6/2)の鳩山由紀夫の説明とマスコミの報道では、それが逆になり、鳩山由紀夫の方が小沢一郎の辞任を求めて達成した話になっている。ネットの中でも、そのフィクションを素朴に信じて騒いでいる者がいる。密室の協議は、当事者3人(鳩山・小沢・輿石)しか真実を知らない。事実の解読は、小沢一郎が鳩山由紀夫のために花を持たせているのである。面子を立ててやっているのだ。斬られ役の悪役を演じ、「鳩山降ろし」の事実を「ダブル辞任」に意図的に差し替えているのである。これは、小沢一郎が仕組んで仕留めた政局であり、目論見どおりの成果を手に入れている。