地方の1人区で有権者が自民党を選択した問題について、よく考えると、それは一つの消費税増税回避行動として了解することができる。今回、消費税増税への拒絶反応は、特に高齢者など経済的弱者の多い地方で強かった。そのことは新聞も報じているし、NHKの9時のニュースに出演した蓮舫も証言している。もし、民主党の候補に一票入れて当選させ、選挙で民主党を勝たせてしまうと、菅直人の10%増税の公約が信認された結果になり、菅政権は予定どおり消費税増税の税制改正に着手する。早ければ来年、遅くとも再来年には消費税が2倍になる。選挙の民意を根拠にして、菅直人は手早く事務的に増税を法制化しただろう。法人税減税の方は、新政権発足と同時に閣議決定を済ませている。残るはセットの消費税増税の方で、これは選挙を経て処理へと詰める予定だった。菅直人と官僚は、選挙に負ける想定は一切しておらず、法人税減税の減収分を消費税増税で穴埋めする算段で、きわめて機械的に財政計画をプログラムしていたのである。同じ消費税10%の公約でも、民主党の公約と自民党の公約では意味が全く違う。政権党の公約は、選挙に勝てば即実行に移される政策だ。野党第一党の公約は、次の衆院選に勝たなければ実行できない。自民党に投票して勝たせることは、結果的には消費税増税を先送りする政治を導く。消費税増税を避けるためにはそれしかない。