日本国憲法は、言論、集会、結社、表現の自由を保障し、思想の自由と信教の自由を保障しているが、憲法の条文を根拠に、全ての思想がフラットに認められていると解釈するのは間違っている。憲法が認めていない例外的で異端的な思想がある。それは戦争を賛美し肯定する思想である。
憲法の前文にこういう件がある。「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」。平和主義の理想を高らかに掲げた重要な宣言部分だが、この前文が具体的に条文規定され、戦争放棄と戦力不保持を定めたのが9条であることは言うまでもない。前文は国民の決意であり、9条は国家の基本原理である。戦争が否定され、戦争をせずに国際社会で生きていく覚悟が示されている。「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という部分に注目しよう。つまり、丸腰で生きていくという意味であり、あらゆるトラブルは話し合いで解決するという固い信念と意思が表明されている。丸腰と話し合いで生きて行けることを信じると言い、相手を信じると誓っている。同じ人間だから話せばわかると言っている。ここに日本国の基本思想がある。われわれ全国民が守るべき基本指針はこれだ。守れないのなら、憲法を変えなくてはいけない。