式典の参加者に広島市が用意したブローシャーの中に、折り鶴の折り方を図解で教示した一枚があり、金色の折り紙とセットで配布されていた。正方形の折り紙を順番に折り畳み、一羽の鶴に仕上がるまでの14段階の図が描かれ、初めての者でも簡単に折り鶴を完成できるように指導されている。表面が日本語、裏面が英語表記で、Fold your desire for peace into a paper crane とある。朝早く会場に入った参列者は、開式まで座席で待つ間、各自が小さな折り鶴を製作することになる。折り鶴は式場外の回収箱に集められ、広島市長が訪問する国の政府に贈られると案内されていた。何とセンスのいい企画だろう。原爆の子の像のバックヤードに、例の千羽鶴を奉納するブースがあり、この日も折り鶴を捧げる者が絶えなかったが、全国から寄せられた千羽鶴の山で満杯になると、市の職員が順次回収して、やはり広島市長が各国を訪問する際に贈呈されているらしい。
前回、広島市の職員の服装のことを報告したが、白と黒の正装は市職員だけではない。「報道」の黄色の腕章を巻き、NHKとか中国新聞とか社名を付けた者たちもまた、同じ白と黒の服装で謙虚に歩いている。その姿に好感を覚えた。東京では、報道のクルーと言えば、傲慢と横柄と無神経の代名詞で、特権意識を振りかざし、わがもの顔で市民を押しのけ、現場で傍若無人に取材し、それを捏造して商売する者たちを指す。
バンキシャのスタッフのイメージだ。