与謝野馨を経済財政相に起用した改造内閣は、果たしてどれほどの支持率で出るだろう。マスコミは、消費税増税と
TPP加盟にギアを入れた菅直人の人事を評価し、この組閣にエールを送る翼賛報道で埋めている。上の二つの政策遂行は、昨年よりマスコミが政権に強力に迫り、正月は「五紙共同社説」で口を揃えて発破をかけたものでもあり、マスコミの要求に人事で応えた菅直人を持ち上げる讃辞をテレビ報道で連発させている。マスコミと政権からすれば、ここで支持率を上昇させ、消費税増税とTPP加盟へと世論の流れを固めたい思惑だろう。しかし、与謝野馨は「民主党政権打倒」を叫んで自民党を出た矯徒であり、その前は麻生内閣の経済政策の司令塔だった奸物である。今回の離党と入閣は、身内だった
右翼方面からも強い顰蹙と失望を買っている。その男が政権交代した民主党の重要閣僚に収まる人事は、迎える菅直人も、入る与謝野馨も、あまりに無節操かつ非常識で、国民には神経を逆撫でする不愉快なハプニングと受け止められるはずだ。小泉純一郎的なサプライズとは縁遠い。国民の中には菅直人に対する根深い不信感がある。国民との信頼関係が切れており、マスコミがどれほど提灯報道で風を吹かせても、それに応じて総勢が靡くとは考えられない。支持率が一瞬上がる場面が生じても、国会が始まれば即座に下落するに違いなく、マスコミと官僚の目論見どおりに政局が運ぶことはないだろう。