予算の無駄を削減する問題は、議論が片づいて終幕した国政上の課題ではなく、必ず次の選挙で争点として浮上する。菅政権と官僚は、マニフェストで公約した16.8兆円の無駄削減と財源捻出について、マスコミを通じて「最初から無理」だと言いくるめ、国民に消費税増税を観念させようとしているが、選挙の季節になれば、間違いなく「無駄を削るのが先」という主張が出て来て勢いを持つ。具体的に予想すれば、
みんなの党が増税ではなく歳出削減を公約(アジェンダ)に据え、削減費目をリストアップして訴え、「小さな政府」の正当性を唱えて支持を受けるだろう。みんなの党は、昨年の参院選で10議席を獲得し、比例の得票数は公明党を上回る勢力になっている。次の総選挙で民主・自民の二大政党のいずれもが過半数に達せず、みんなの党が50議席を超える躍進で第三党になり、みんなの党が連立政権に入る場合、連立政権の政策はみんなの党の公約の丸呑みになると想定される。無論、そのときは、みんなの党は参院で多数を占める自民党との連立を志向する。衆参で多数派にならないと政権が安定しないからだ。民主党への国民の幻滅が、必ずしも自民党への支持回復に結びつかない現状を見ると、上のような選挙の情勢と結果に至る可能性は小さくない。その場合、みんなの党が選挙後の政策の主導権を握り、消費税増税を棚上げにするだろう。子ども手当は廃止され、地方交付金も削減される事態になるが。