正月のマスコミ報道の中から、今年の経済動向を分析した情報を探したが、特に核心を衝いていると評価できるものがない。エコノミクスの説得力を感じるものがなく、知的刺激を受ける洞察や予測がない。新聞の特集記事は、ほとんどがTPP加盟と消費税増税の正当化に繋げる安直な提言の類ばかりで、経済分析ではなくて政治主張が並べられている。食糧エネルギー危機についての認識も甘いし、金融や産業のトレンドについても掘り下げた考察がない。マクロ経済について、膝を打つ解説と展望が語られていない。日本社会の「縮み」が言われているが、経済について語る者、そして話を聞く者の問題意識がどうにも萎縮し貧弱になっていて、報道や論壇の経済論議のパースペクティブに広がりと鋭さが欠落しているのである。おそらく、韓国のマスコミやアカデミーの方が、要領を得た経済予測の知見を提供しているはずで、国民と企業と政府に、この一年に対処し挑戦する上での注意や要点をよく諭していることだろう。日本は、本当に論壇と報道のスキルとレベルが低下した。カスカスの骨粗鬆症状態になった。経済と政策についての言説は、「勝ち組」が支配し、「勝ち組」が儲け続ける前提のために全てが定義され、結論が決まっていて、「健全な中間層」を基準とする客観的で合理的な論説が失われている。つまり、経済を語る言葉から多くの国民が疎外されていて、意味のない言語が氾濫する世界になっている。