大阪ダブル選での「維新の会」の圧勝は、一言で言えば右翼の勝利であり、日本の政治が憲法改定と対中戦争に向けて一歩前へ進んだことを意味するものだ。橋下徹は明快な政治目標を持っているし、それを実現するべく中央政界に打って出るだろうし、ポピュリズムの政治を自在に動かせる若い間に、つまり、賞味期限が切れる前に、より過激な思想と政策で人気を取る若いライバルが出現する前に、政権の座を狙うだろう。改憲は右翼の宿年の悲願だが、永田町を一瞥したところ、それを実現できる強力なパワーを持った政治家は存在しない。9条の壁を崩すには力が要る。石破茂や前原誠司にはその実行力がないこと、安倍晋三は無能すぎて期待できないことを右翼はよく知っている。石破茂や前原誠司や、その同類項の愚物たちは、首相に就く機会を得れば、すぐに「村山談話を踏襲し」の立場に転じることを右翼は見抜いている。そうした右翼にとって、最も期待を託せる過激派が橋下徹であり、自らの衝動や執念と同一化できる希望の星なのである。橋下徹の今回の勝利は、憲法9条にとって大きな危機の出来であると同時に、憲法25条にとっても絶体絶命の深刻な事態の到来である。多くを説明するまでもなく、今、生活保護が重要な政策テーマに上がり、財政難を理由に水際作戦が復活しようとしている。その現場として措定されているのは、特に大阪市だ。