朝日が12/4-6の3日間、『
カオスの深淵』と題した欧州債務危機の論説を特集していた。最初の記事は12/4の
1面トップに掲載されたが、冒頭、こんな内容が書かれている。「紀元前6世紀の初めのアテネ。貧しい市民の多くは、金持ちから金を借りてやりくりしていた。借金のかたは自分の体。返せない者は奴隷にった。(略)落ちぶれた人が増え、社会には緊張が高まっていたという。そこに、ソロンという政治指導者が登場する。彼は借金を帳消しにし、多くの人を隷属状態から市民に戻した。人間を借金のかたにすることも禁じた。さらに、富裕層などに限られていた政治参加を貧しい市民に広げた。次々打ち出した改革は、古代民主制の土台になったとされる」。と、ソロンの改革について紹介しながら、アテネ大のマキギアンニの言葉を借りて、朝日の記事はこう続ける。「『ソロンの時代は、経済も政治もアテネの中の話だった。でも、グローバル化した市場が相手。どうしようもない』と教授はあきらめ顔だ」。余計な注釈ながら、ソロンの改革で禁止されたのは、市民が借財で奴隷化する債務奴隷であり、戦争奴隷は含まれていない。奴隷制一般の廃絶が企図されたわけではないので念のため。この記事のタイトルは「借金が民主主義を支配する」で、その視角から欧州危機を捉えていて、市場が国家主権の上に立って政策決定する現状を民主主義の危機だと説いている。