「二大政党による政権交代」の命題なり範疇が崩壊しつつある。現在の日本の政治について、そう洞察を与えることができるはずだ。「二大政党による政権交代」を理想として描き、その体制の建設に参加し下から支えてきた人々が、その欺瞞に気づき、あるいはその不可能性を直観し、コミットする立場から次第に離れつつある。批判的な観点から言えば、「二大政党による政権交代」の言葉のイデオロギー性が明らかになり、真理価値が剥落して、一般の支持や信仰をよく繋ぎ止められない状況になりつつある。日本の現代政治史において、1990年代初から20年間続いてきた「二大政党の時代」が終焉を迎えつつある。今朝(3/1)のワイドショーで落合恵子が吐露した寸言が典型的だと感じたが、人々が「二大政党による政権交代」の範疇に挫折を感じ、裏切られたと思い、積極的な期待と信頼を寄せて接することができない対象になっている。この20年間、日本人は政治において、このイデアにコミットし続けてきたのであり、このイデアをモデルとして現実に体制構築し、円滑十全に運営することで、この国のデモクラシーを発展させられるという信念の下に生きてきたのだ。そのイデアがイデオロギーに転化しつつある。うそ臭さが露わになり、愚神礼讃だったのではないかという懐疑が芽生えつつある。それは、「政治改革」に騙されてきたという反省に繋がるだろう。「政治改革」の言説の支配が終幕に近づいているのである。