昨日(6/28)の民主党の両院議員総会は、途中で主役の菅直人が退場するという異例の展開で幕となった。何人かの議員が怒号を飛ばして逃亡する菅直人を非難していたが、誰も引き留める者はなく、肩透かしのハプニングで後味の悪い結末となった。昔の自民党の両院議員総会なら、例えば、三木武夫と挙党協の抗争劇がそうだったが、どれほど激越な糾弾と面罵があっても、修羅場から標的たる当人が遁走するということはなかったし、政治家の矜持としてそれはできず、最後まで針の筵の上で責め苦に耐え抜くしかなかったものだ。仮に会場から脱出しようとしても、浜田幸一のような強面の体育会系が阻止して、物理的に身柄を押さえたはずで、だからこそ、吊し上げの私刑にも屈せず粘り強く抗弁し、世間の同情を買う作戦に出たりしていた。日本の政治は変わった。この変化を、私は政治家が礼儀正しくなったとか、ソフィスケイトされたとか、そのようには断じて思わない。本来、権力闘争は命懸けの真剣勝負で、一撃必殺で政敵を仕留めるものだ。子どもの遊びじゃない。座席に居並ぶ無表情な民主党議員たちが、まるで就職説明会に来た子羊のような学生の風情に見える。一体、彼らは何をしに両院議員総会に出席したのか。何のために総会の開催を要求したのか。吊し上げどころか、逆に解散の脅しを受けて縮み上がり、菅直人を料亭の会合に逃がす体たらくだった。