民主党と自民党が大連立を画す理由は、消費税とTPPの政策にあり、この二つを選挙を経ずに実現するところにある。大連立を組めば、二つの政策について民意を問わずに済み、総選挙の争点から外すことができる。それが第一の狙いだ。特に消費税は選挙の鬼門で、過去の選挙でそれを打ち出した側は惨敗してきた経緯がある。2年前の衆院選もそうだし、昨年の参院選もそうだった。選挙で消費税増税が争点になり、仮に二党で賛成・反対の立場が分かれた場合、票は反対を唱えた政党の方に流れ込む。消費税が争点になった瞬間、二党は相手に対してアドバンテージを取るべく、増税率や実施時期の公約で駆け引きするのであり、そうすると、官僚とマスコミが思惑するストレートな方向に流れず、曖昧になったり、大きく後退して歯止めがかかる選挙結果になるのである。マスコミが事前にどれほど洗脳工作して、「世論」を「増税賛成」に固めても、選挙になれば、国民は洗脳から覚醒して消費税増税に拒絶反応を示す。政党はその生理と法則を熟知しており、消費税増税を選挙で訴えることに恐怖症を持っている。TPPも同じだ。だから、選挙を経ずに消費税増税とTPP加盟を決めたいのであり、そのリスクを冒さない最も具合のいい方策が大連立なのである。