民主党代表選で重要な争点となり、現下の政局でも焦点となっている3党合意について考察をしよう。代表選では、小沢派の支持を受けた海江田万里だけが、3党合意の白紙化に言及し、他の4候補と異なる立場を際立たせていた。また、マスコミがそれを捉え、海江田万里の政策姿勢を論外な異端として演出し、非難攻撃を集中させる報道工作に徹していた。他候補とマスコミの言い分は、公党間で取り決めた合意は、政権が変わっても順守されなければならないという「正論」であり、一般常識からすれば然りで、海江田万里の主張は不当な逸脱として映る。マスコミは、増税問題に注目が集まると野田佳彦が突出して不利な状況になるため、投票前日の討論番組と翌日の
新聞紙面で、3党合意の対立面をクローズアップし、人々の関心を喚起させる作戦に出ていた。ディベートの場での一対多の数的不利があり、レフェリー(テレビ)もジャッジ(新聞)も中立でなく敵であり、短期決戦の短い論戦期間の制約があり、海江田万里はこの問題の
論争で劣勢に立ち、論点を深められず、説得的な切り返しを国民と党議員に示すことができなかった。果たして、3党合意は本当に順守されなくてはならないのだろうか。その正統性(Legitimacy)を検証したいが、それ以前に、3党合意とはそもそも何なのか、どれだけの国民が中身を正しく理解しているのだろうか。