選挙の公示日のニュースでは、各党党首の第一声をテレビが揃って報道する。その第一声を聞きに集まる有権者の姿もカメラに捉える。新聞もその写真をネットに配信する。公示日の昨日(12/4)は、東日本は雨か曇りの天気で、しかも真冬並みの寒気に包まれていた。そのため、第一声の現場の風景が全体に暗い色調の中に沈んだ感がある。普通だと、公示日第一声が放たれる空間は、大量のマスコミが集まり、詰めかけた支持者から喚声が上がり、華やいだ祝祭の雰囲気に包まれるものだ。ハレの場である。思えば、この10年ほど、国政選挙は常に灼熱の真夏を舞台にして行われ、選挙戦スタートの絵は眩しい陽光の中にあった。しかし、今回、それが逆に、異様に暗く陰鬱に感じられるのは、決して季節や天候のせいだけだとは思えない。率直に印象を言えば、日本はすっかり老衰し、そしてとことん貧乏になった。今回、党首たちは第一声の地を福島に選んだため、聴衆に高齢者が多く、身なりが質素にくすんで見える。豊かな日本の人々に見えない。1年前、金正日が死んだとき、平壌の人々を撮った映像を見て、女性たちのカラフルなダウンコート姿に驚かされた。上着も靴も、10年前とは見違えるほど上質になっていて、経済的に豊かに変わっている事実が窺われた。それと対照的な、全く逆の真相を今回の映像で直感する。そして、福島と東京では人々の姿がずいぶん違う。都市と地方の格差が歴然としている。