メルケルが先週(2/2)北京を訪問して温家宝と会談した。翌日(2/3)の朝日紙面(9面)に
報道が出ている。欧州金融安定基金(EFSF)と欧州安定メカニズム(ESM)への中国の支援を要請、それに対して、温家宝は具体的な金額は明言しなかったものの、IMF経由での欧州への追加援助に言及、メルケルは今回の訪中の目的を達成している。また、イラン産原油の輸入削減も要求したが、これには温家宝は応じなかった。3月のギリシャ危機再燃が囁かれる中、北京で「追加支援」の言質をとったことは、EUにとっては大きな成果であり、市場筋に対する有効なアピール材料になるに違いない。一方、中国にとってもこの政治の意味は大きく、EUの首脳が平身低頭で北京に詣でて資金の無心を懇請、それに貫禄の態度で応じてやる図を世界に見せたことは、否が応でも中国の威信を内外に高める効果に導く。あたかも、往年の中華帝国の朝貢外交の威風を再現するかの如く。この
ニュースは、日本のテレビ報道では扱われなかった。だから、国内では情報を全く知らない者も多いと思われる。メルケルは東京には立ち寄らなかった。世界は刻々と変貌している。この独中首脳会談は、まさに現在の世界の多極化を印象づける一事であり、同時に、日本と日本人が世界からどんどん孤立し、世界の潮流と無縁になっている様相を示すものだ。