「震災から1年」の昨日(3/11)、朝からずっとテレビ報道に付き合い、ときどきTwitterで意見を発しながら、国立劇場で挙行される政府主催の追悼式の時間を待った。この場所は、即位20年の記念式典が行われた会場だ。黒の紋付姿の皇后陛下を初めて見たが、美しく、素晴らしい絵を作っていた。終戦の日の武道館と同様、天皇陛下のお言葉のとき、皇后陛下は左斜め後ろの位置に立ち、テレビカメラが二人をアップで撮る構図の右前方に入る。天皇陛下がお言葉を読み上げる間、皇后陛下は三つのことをしている。①天皇陛下の言葉のストリーミングを暗記すること、②天皇陛下が配した表現の一つ一つの意味と動機を解読すること、③天皇陛下の健康に異変がないか気遣い確認すること。明晰な頭脳(CPU)を高速に回転させ、その三つの情報処理を同時並行でやっていることを見せ、②と③については中身(出力情報)を表情で国民に示唆している。まさに、国の象徴たる人格にして最高の女優なのだ。今回、特に③の問題について、皇后陛下の視線は何事かを国民に伝えていた。お体の具合が万全ではないこと、無理をして声を出していることが、皇后陛下の視線の微妙な変化で察せられた。天皇陛下のお言葉は、実にこの慰霊式に相応しい内容で、主権者である国民の心情をそのまま代弁したものだった。聞きながら、心が一つになり、皇后陛下のマルチタスクと自分の意識とが融合して、①-③の作業をやっていた。