3/16の朝、吉本隆明の死去を伝えるマスコミの報道が流れ、毎日は「戦後最大の思想家」と絶賛、共同も「戦後思想に圧倒的な影響を与えたカリスマ」と書いていた。その異常な持ち上げ方に違和感を覚えつつ、ずっとTwitterでTLの流れを見ていたが、一般の反応は、「そういや、一つも読んだことない」とか、「読んだけど分からなかった」と正直に言う者が圧倒的に多かった。それが現実だろう。多くの国民が何も著作を読んでおらず、あるいはその思想像についての知識や了解がない一般的事実があるのに、どうして、マスコミの文化部記者は、この男を「戦後最大の思想家」と評価づけることができるのか。そう報道できる根拠と基準は何なのか。客観的に妥当なのか。そもそも、記者たちは本当に吉本隆明を読み、その思想を十分に理解しているのか、思想内容を正確に紹介できるのか、というような反論を、ずっと週末の呟きに上げていた。マスコミ報道が一列に揃って断言すれば、吉本隆明が「戦後最大の思想家」であるという既成事実が出来上がる。何も知らない若者が、「吉本隆明」という記号をその意味づけで受けとめ、通念として社会生活で使用するようになる。それでいいのだろうか。報道は検証の必要はないのか。「全共闘のカリスマ教祖」の指摘は事実だろう。その人物が「戦後最大の思想家」に化ける理由は何なのか。