広瀬隆の新著『第二のフクシマ、日本滅亡』の第3章に、次のような記述がある。「今後に危惧される最大の問題は、水源の汚染である。フクイチからは、放射性の水素であるトリチウムが大量に放出されてきたはずだが、ベータ線を出す放射性物質なので、まったく測定できない。トリチウムは、普通の水素に中性子が二個くっついた三重水素のことで、価電子の数が普通の水素と同じなので、科学的に同じ性質を持っている。そのためこれを組み込んだトリチウム水は、普通の水とまったく同じなので、取り除くことができない。ごく低濃度でも人間のリンパ球に染色体異常を起こすことが、放射線医学総合研究所で突き止められており、半減期も12年と長い危険物である。カウンターで見逃される最大の危険性は、このトリチウム水と、セシウム落ち葉から広がりつつある水源の汚染である。首都圏の水源地である栃木県と群馬県中部の山間部が高濃度に汚染されているため、利根川から取水する金町浄水場の汚染が一時問題となった。ところが実際には、奥多摩湖周辺から異常に高い放射線量が検出されていることから、秩父山系と奥多摩、群馬県南西部を水源とする多摩川水系の浄水場にも放射性物質は流入している。秋から冬にかけて、落ち葉によるセシウムの高濃度汚染が広大な範囲に浸透しつつある」(P.214-215)。これまでのマスコミ報道で、
トリチウム水の危険性を警鐘した情報に接した記憶がない。