尖閣国有化を中国側に説明するため、政府はすぐに
杉山晋輔(アジア大洋州局長)を北京に飛ばした。この措置は悪くない。もし国有化しなければ、石原慎太郎が購入して港湾等を自在に建設し、それをマスコミに宣伝していたことだろう。石原慎太郎の尖閣の火遊びを阻止するためには、政府が取得して「平穏かつ安定的に維持管理する」しかない。政府の判断と決定は、右翼の尖閣妄動を防ぐためのもので、日中関係の悪化を食い止めるためのものだ。結果的に、日本側の主権強化となり、中国側の望む現状維持からは動いたが、
次善の策としてやむを得ない。この点は中国の認識も同じだろう。にもかかわらず、今回、中国側の反応がこれほど強硬なのは、私の推測では、水面下の日中交渉で、中国が要求している「
3条件」(①上陸させない②調査をしない③開発しない)を日本が合意してないからで、態度を曖昧にしているからだろう。おそらく、石原慎太郎にも何らかの「説明」をしているわけで、「密約」的なニュアンスを残している可能性がある。とすれば、中国への「説明」は玉虫色の二枚舌になり、「3条件」に明確にコミットすることができない。政府はマスコミへのリークで、9月下旬のNYの国連総会で日中首脳会談を
想定と言ってきたが、とてもそのような情勢ではなくなっていて、10日ほどで調整がつくような楽観的環境ではなくなった。日本側が大胆に動くしか問題の解決はない。