レーダー照射の件、小野寺五典の発表から一日経ち、安倍晋三による周到な世論工作の性格がかなり明確になってきた。当初のマスコミ報道では表に出なかったが、中国艦からのレーダー照射は過去に何度もあり、民主党政権時だけでなく小泉政権の時代から起きていた事実が発覚している。2005年9月、海自のP3Cが東シナ海ガス田付近の上空でレーダー照射を受けた問題が報道に出て、野党だった民主党が国会質疑に取り上げて政府答弁で確認させている。それによると、最初にレーダー照射があったのは2005年1月で、9月は二度目となる。当時は、小泉純一郎の靖国参拝問題で日中関係が険悪化していた時期であり、その動きに伴って東シナ海ガス田の共同開発が頓挫した経緯があった。ネットに出ている情報だけで、小泉政権時に2回、民主党政権時に複数回、今回と同じレーダー照射の事件が発生していたことが分かる。民主党政権下でのレーダー照射は、例の漁船衝突事件の後に起きていたもので、つまり、日中間が緊迫した時期に、両国の海軍(海自)が接触する海域で起きている。2/5の午後7時の記者会見の際、小野寺五典は記者から「これが最初か」と質問されたのに対して、過去にもあったとは正答せず、「全体を通しても、きわめて特異的な事例」だと言葉をはぐらかしていた。<�過去にはなかったことだ>という衝撃的な印象を国民に刻み込むのが狙いだったのだ。