日銀がマネタリーベースを2年で2倍にする金融緩和政策を発表し、黒田東彦の会見(4/4)で、昨年末時点138兆円を2013年末に200兆円に、2014年末に270兆円に増やすとコミットしている。NHKをはじめとするマスコミは奉祝報道で埋め、「デフレ脱却」と「景気回復」を演出し、アベノミクスを礼讃しているが、この政策の具体的な中身を確認する必要がある。今回の金融緩和、日銀による市中への大量の資金供給は、実際には長期国債の保有額を増やすことによって実現される。ここがポイントだ。2012年末の日銀の長期国債の保有額は89兆円、それを現在の2倍の月7兆円ペースで買い続け、2014年末に2倍の190兆円にまで増やす。2年間で100兆円の長期国債を買う。2年間で増やす供給資金量132兆円の76%が長期国債の調達で賄われる計算だ。この手法は、リーマンショック後の
FRBが実行していて、2008年から2011年のQE1-QE2によって合計9000億ドル(約85兆円)の米国債を買い取っている。FRBはQE1-QE2によって、住宅ローン担保証券の1.25兆ドル購入を含め、全体で2.3兆ドル(約220兆円)の資金供給をし、バランスシートを3倍に拡大させる挙に及んだ。FRBのバーナンキやIMFのラガルドが日銀の今回の措置を評価し、新自由主義者の集まりである市場の関係者が黒田東彦を絶賛するのは、市場がかねてより要請してきた米国FRBと同じ原理同じ手法の政策発動に日銀が踏み切ったからだ。