昨夜(4/8)のNHKのニュースで砂川事件に関する
報道があり、当時の最高裁長官(田中耕太郞)が、上告審判決の見通しを駐日米公使と密談して伝達していた
事実が暴露された。米軍駐留を違憲とした一審判決を破棄し、しかもそれを少数意見のない
全員一致の判決で出すことを、米国側の要請に応じて最高裁長官が応諾していた。これは、当時の駐日米大使がワシントンの国務長官に送った公電から明らかにされたもので、元山梨学院大教授の布川玲子とジャーナリストの末浪靖司が米国立公文書館から入手した。きわめて重大な問題だ。司法権の独立を揺るがす由々しき問題だという批判が、水島朝穂などから上がっているが、司法権の独立以前に、日本国の主権の侵害であり、米国が最高裁判決を、しかも憲法判断を指図している。砂川事件は、憲法を学ぶときは必ず登場する事項で、高校の教科書にも出ていたし、特に大学の法学部に入った学生は、講義でこの裁判の過程を詳しく追いかけ、憲法9条と統治行為論を学んでいた。われわれの頃は、大学1年時に「基礎法学」の演習が必修であり、有斐閣の別冊ジュリストをテキストにして、憲法に関わる重大な戦後の事件と判例を学ばされた。だから、砂川事件と9条の問題とか、朝日訴訟と25条の問題とか、「チャタレー夫人の恋人」の表現の自由と公共の福祉の問題(21条)とか、ほとんど暗記するレベルまで叩き込まれて、専門用語を含む憲法論議を学生同士が日常会話で行うのが普通の風景だった。