「成長戦略」とは何か。それは、第一には官僚ペーパーの文言だ。5年前の福田内閣の頃から「成長戦略」という言葉はあったし、3年前の菅内閣の「グリーン・イノベーション」とか「ライフ・イノベーション」とかは記憶に新しいところだろう。菅内閣が「
新成長戦略」を発表したとき、巷からは「総花的」で「無内容な官僚のペーパーをホッチキスで止めたもの」だと批判された。菅内閣のあと、野田内閣、第2次安倍内閣と続くわけだが、「成長戦略」と題して発表される中身は、基本的に同じものである。一言で言えば、小泉政権の当時の構造改革の路線の下で、各省庁が政策プログラム(省利省益の)を作っていたものを「成長戦略」という名前にして纏めて呼ぶようになった。したがって、「成長戦略」の下で並べられている政策群は、新自由主義的な目的と性格を強く持っている点が特徴である。官僚臭とネオリベ臭、それが「成長戦略」が放つものだ。過去の民主党の歴代内閣がそれを宣伝していたときは、マスコミは「成長戦略」に対してブーイングを飛ばすのが常だったが、なぜか安倍晋三の「成長戦略」に対してだけはそうではなく、期待先行で株価が上がっている状態に対して、実体経済の中身を埋めるものだと肯定的に定義し、半年間、内容が出る前からマスコミは徹底的に宣伝した。特に古舘伊知郎だが、「これから安倍さんが成長戦略の中身を出せば、いよいよ本物の景気回復」と、毎晩のように繰り返し言い、国民の期待を喚起した。