集団的自衛権に抗議して新宿で焼身自殺を図った
男性に対して、江川紹子が「支持も共感もできない」と
言い、ネット右翼から喝采を浴びるという出来事が起きていた。私は江川紹子とは全く反対で、共感もできるし、支持もできる。むしろ、心の奥にある感想を掴み出して吐き出せば、他に何があるのかと叫びたい。この男性の場合、おそらく、政治的な示威が第一の目的ではない。もっと私的で複雑な事情があり、深くて重い絶望があったのだろう。年齢は60代だと推定されている。この人にも親がいたはずだ。健在かどうかは分からないが、彼を育てた母親がいたはずだ。そして、過去には家族がいて、子どももいたのかもしれない。もし子どもがいたとしたら、と思う。こうやって顔がアップで撮影され配信されているのだから、本人を知る者はすぐに誰だか分かる。この焼身自殺の行動は、無名の個人にとっては近親者に大きな迷惑をかけるリスクだ。リスクを覚悟の上で、命を投げ出して業火に身を包んだことを、私は粛然と受け止め、そして暗然として佇まざるを得ない。軽々に非難したり、まして罵倒したり侮辱したりすることはできない。江川紹子の批判は、あまりに軽はずみなものだ。想像力が無さすぎるし、他者への思いやりが欠けている。当の男性は、この国の政治の犠牲者なのだろうし、敢えて言えば、本当の意味でわれわれの代弁者なのだろう。この国の絶望、自分自身の中にある諦念、それを映し出した姿なのだと思う。