一昨日(6/6)、東大で行われた「立憲デモクラシーの会」主催の佐藤幸治の
講演会は、定員700名の会場に1400人が押し寄せ、大入り満員の盛況となった。その2日前の6/4に、憲法学者3名による安保法案に対する違憲判断があり、そのニュースで世間が騒然とする状況になったため、立憲主義をテーマにした今回の講演会は非常にタイムリーな企画となり、市民の関心を惹いて集客動員に成功する結果となった。主催した側は幸運だったと言える。佐藤幸治の80分の講演は、立憲主義論のジェネラルセオリーというか、本人が研究してきた理論の集大成を分かりやすくコンパクトに纏めたもので、構成の濃い、学問的に格調高い豊穣な講義が準備されていた。パネルディスカッションの部での樋口陽一の補足議論と合わせて、憲法学のみならず社会科学の世界全体における立憲主義論の勝利を高らかに謳い上げ、決定的な通説としての確立を世間に宣言するセレモニーになっていたと言える。時局が時局であり、情勢が情勢だけに、立憲主義論のセオリーは、言わばガミラスの悪の軍団を粉砕する
波動砲のような威力と頼もしさを感じさせるし、市民がこの政治でファシズムに抵抗する切り札の武器となった感がある。それでよいし、マエストロたる樋口陽一の説得力は実に圧倒的だ。日本のアカデミーへの期待を市民が繋ぐ最後のよすがたり得る、巨大で強靱な知的存在感を放っている。