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フィリピンにおける左派政権の成立 - 脱米のドゥテルテを支持し期待する
2016-10-31 17:37:00
テーマ: 政治・経済
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c0315619_16270420.jpgドゥテルテの意味を考えながら、鶴見良行の『バナナと日本人』を読み返した。1982年に出されたこの岩波新書は黄版を代表する名著で、80年代の日本人の教養書として広く愛読された一冊である。大学を出て社会人になった私にとって、その東南アジア論はきわめて新鮮で、魅力的で、『マングローブの沼地で』『マラッカ物語』『ナマコの眼』等々の諸作品を次々と夢中になって貪り読んだ記憶がある。それらの書籍群は、蔵書の中のいわば一等地のところに鎮座していて、この先も地位に変更があるとは思えない。マルクスとウェーバーの方法では東南アジアの島嶼社会は切れないのだと鶴見良行は言っていた。近代主義の方法のこの地への適用では有効な社会科学の成果を得られないから、自分は違う方法を模索するのであり、小舟に揺られ、波間に漂い、海面の低い目線からマングローブの林に接近する視角で対象を考察するのだと語っていた。鶴見俊輔の従弟であり、ベ平連に参加して活動している。またPARCの設立メンバーであり、現在、反TPPで活躍中の内田聖子とPARCの活動の源流を若い人が知る上でも、この本は有意味な情報提供となるだろう。日本の社会科学の古典であり、若い学生には必読文献である。鶴見俊輔は長生きしたが、鶴見良行の方は残念ながら22年前に早死にした。
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