< 2023年1月 > | ||||||
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マキアヴェリの『君主論』を読んだ。きっかけは、あるアカデミー関連機関が調査した全米の大学教科書トップ100で4位にランキングされている事実を知ったことによる。岩波による「アメリカ10大学の課題図書」でもこの本が3位にランキングされていて、古典として絶大な人気を誇り、必読文献として大学教育に使われている様子が分かる。私は学生時代に齧ったきりで、完読に至らず中途で放り出したままだった。今回は最後まで読み切り、収穫も多い。学生時代のときも、やはり政治学のマストの古典だから読まなきゃという動機で臨んだが、全く面白くなく、哲学的でもなく、人間社会の真理が深く掘り下げられた理論が展開されているでもなく、何の刺激も魅力も感じず、無味乾燥で退屈な印象だけが残った。
人生を長い時間過ごすと、経験が人を古典の意義の発見に近づけ、価値の重さの感得に導くものだ。今回の読書でそのことを痛感した。今回は、この本がなぜ欧米の高等教育の基礎教材として不滅の地位を維持しているのか、愛読され続けるのか、その疑問に解を与えることを目的とし、その問題意識で読み込んだのだけれど、果たして、十分に納得できる結果が返ってきた実感がある。私なりの理解だが、なるほどと積極的に頷けた。満足感を得た。その意味で今回の読書は成功となり、私もまた『君主論』を読み論ずる輪(サークル)の末端に加わる一人となった。欧米の大学教室で学生たちに『君主論』を課題指定し、レポートを書いて来いと催促する教授たちの指導ルーティンによく同調できる立場となった。
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