SITIGMA Side-Koichi Vol.1
第2章 1
三年生の終業式のあと、二人とぼくは引こしして、新しいマンションに住むことになった。ぼくは四年生の始業式から新しい学校に通うことになったから、前の学校でも、新しい学校でもめんどうなあいさつをする必要もなくて、目立たなくてよかったから、とても助かった。
みんなぼくのお別れ会なんてめんどうに決まっていた。ぼくはいつも、なるべく目立たないようにしてきたから、学校休んでもだれも気にしないし、四年生からいなくなっても、だれもさびしがらないし、かなしまないし、気づかない子の方が、きっと多いと思う。新しい学校でも、できるだけ目立ちたくなかった。目立つときっと、みんなぼくをきらうと思うから。なんでいるの? とか思われると思うから。そうなると、いじめられたりするかもしれない。そういうのはぼくもつらいし、先生にばれたら、いじめた子も、先生もとてもめんどうなことになる。それよりなにより、先生からそういうことが、二人にばれるのが一番いやだった。
勉強は、普通にやればちょうどまん中ぐらいになる。運動はあんまり得意じゃないから、一番ビリになったり、みんなの前で大きな失敗をしないように、けっこうがんばらなきゃいけなくて、体育はあまり好きじゃない。
だからってぼくは、だれにもネクラとか思われていない。そう思われないように、気をつけている。休み時間やほうか後には、校庭でドッジボールやサッカーをして、みんなと遊ぶ。たくさんしゃべると、きっとぼくは変だってだれかが気づくんじゃないかと思うから、なるべくしゃべらないで、男の子同士だけで、体を動かして遊ぶ。今まで、クラスに一人は、だいたい、すごく汚くてだらしないか、ひどく運動おんちか、気が弱すぎるとかで、いじめられちゃう子がいた。あと、びっくりするようなうそつきとか。かわいそうだと思うけど、そういう子さえいれば、ぼくはよけい、がんばらばくてもとうめいになれるから、ほっとした。
背は、男子の中では少し高い方。ちょっとだけ太っているかもしれないけど、服をぬがないとわからないくらいで、他に「デブ」の子が何人かいるから、大丈夫。身長が高くなりすぎても、太りすぎても目立っちゃうから、おかしは食べすぎないように、あとは、その意味でも、休み時間外で遊ぶようにしている。
2
NIGHT
LOUNGE5060