歌舞伎町キャバ嬢の嘘のような本当の話し
第8章 デリヘル嬢
でも、他にも大事にしている客がいるのは知ってた。
ヒロミっていうデリヘル嬢。
けっこう卓が被ることがあって、
シャンパンを入れることも多い客だった。
こないだはシャンパンコールで
ツカサとヒロミがマイクを交互に使って
「ツカサをナンバー1にさせます!」
「ヒロミにナンバー1の俺を見せます」
と言っているのを聞いた。
バカみたい。
私がいなきゃツカサはナンバー1にはなれない。
あんたがナンバー1にしてあげれるほど
力があるんなら、もっと金使えよ。
どうせ出来ないならソープにでも行けば?
と心の中で毒づいていた。
でも店ではそんなシャンコ中も
ヘルプとにこにこしながら飲んでいた。
ヘルプのキャストたちには
「まいちゃんてホントいい子だよね、ツカサのお気に入りだもんね」
と言われるたびに当たり前だ、と思ったけど
「そんなことないよ、ツカサの前ではすっごくわがままなんだよ」
と言って笑った。
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