PC売り場の誘殺2(掴んでみせよう・中編)
第4章 PC4・大活躍のグラマーさん・そんな香が掴めずイラつく店長
さて、森下尚樹は最近とっても憂鬱になった。香は大活躍、PC売り場は大繁盛。でもそれは、彼にとっての個人的な焦がれとは何の関係も無い。知った事か! と言いたくなってくる。
彼は香の胸にクッと顔を当てて抱きつくとか、ベッドに押し倒して求めるとかしたいのである。あの胸に抱かれたいのだ。
後ろから抱きつきたくなる藤本 香という女。20歳のすごいグラマー女子。彼は最初、楽勝だと思っていた。すぐに親しい感じを作って油断させ、そこを押し倒して求める。そしてその求め愛が終了すれば、自分と香は結ばれるという物語まで思い描いていたほど。
それがどうして、何やら掴めない。キャラクターが透明みたいな感じだから上手く掴めないという感じだ。
「藤本さん、今日は大切な話がある。だから今日は、仕事が終わったら俺に付き合うように。居酒屋に行こう」
と、尚樹が耐えかねて行動に出た。ただ誘うだけでは香が応じない。そこで大切な話があるという表現で鎖をかける。店長という身分の特権だ。さすがの香もそれを拒む事は出来ない。そして彼は思う、居酒屋で彼女を酔い潰してラブホテルだと。
(やったぞ、今日はゴールインとか出来るかもしれないな)と、仕事を終えた尚樹が感激。ちゃんと香が待っているではないか。行きましょうかと、ニッコリ笑う香を見たら気持ちが高ぶる。彼は思った、もしかしてこの女、俺の事が好きなんじゃないかと。そして近くの居酒屋ではなく遠出すると言ってタクシーを拾った。気分は誘拐だ。
タクシーが動き出す。後部座席に2人並んでいる。もっと密接したいと思いながら我慢。もし急ブレーキがかかったら、彼は演技しながら彼女の胸に抱きつく決意である。
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