壱の魔術
第4章 第1章 梅雨前線停滞中-3
校門(こうもん)というのはどこの学校にもあるだろう。校門が無い学校というのは、おそらく日本には無いと俺は思う。だが、今俺は校門が無ければよかったと思ってしまう羽目(はめ)にあっていた。考えてみよう。校門は何に使われるか。それはもちろん、学校の出入り口であり、学校の中へ通れるように開けたり、通れなくするように閉めたりするための門だ。しかし、それだけではない。確かに教師たちによればそうかもしれないが俺たち生徒によればそうではないのだ。俺たち生徒にとっては、いっしょに帰る友人を待つための場所なのだ。
なぜ、こんなことを述(の)べているかって?それはだな……。
「言え」
「うお!?」
さすがの俺も突然すぎる出来事で驚いた。雨が一時的に降っていない中で、何せ、校門を出た瞬間、突然後ろから腕(うで)で首を軽くだが閉められたからだ。しかし、最初は驚いたもののすぐに誰が俺の首を絞(し)めているのかは分かっているので、肘打ちを前回よりも幾分(いくぶん)強くした。
「グホォ!!」
スネー○モドキもとい、西車は本気で脇腹(わきばら)を抱え込んで痛そうにしている。が、すぐに立ち直った。……相変わらず自然治癒能力(しぜんちゆのうりょく)は物凄(ものすご)いな。普通の人間ではないのではないかと疑問に思ってしまう程、西車の回復力は俺たちのとは桁違(けたちが)いだ。
俺は、少々呆(あき)れながらも声を発した。
「で、今回は何の用なんだ?」
本当はそんなこと聞かなくても大体予想がつく。おそらく、今日の2時限目の英語の授業での出来事のことだろう。
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